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ポルトガルの首都リスボンで200年前に生まれた大衆音楽ファドを日本とリスボンで活動するファディスタMACHAKO(浅井雅子)が楽しく紹介します。浅井雅子のウェブサイトはこちら。http://www.machakocanta.com/


by MACHAKO

映画「リスボンに誘われて」の試写会にいきました。

素晴らしい作品でした。

皆様良かったら、fbのこちらのページもどうぞ。

https://www.facebook.com/lisbonsasowarete?hc_location=timeline
私の感想文は以下です。

fbページに、ファド歌手からの感想文として
掲載されております。

9月13日が公開日です。是非とも多くの方に見ていただきたいと思います!
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■ファド歌手 浅井雅子(MACHAKO)さん

皆さん、ポルトガルの伝統的な音楽”ファド”をご存知でしょうか。
日本にもファドを愛し、奏でるアーティストの方々がいらっしゃいますが、リスボンで実際にファドを学び、ファド歌手としてご活躍されている浅井雅子さんに本作をご覧いただき、ご感想をいただきました。今日はそちらをご紹介致します。
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「リスボンには、次の運命がある」

9/13(土)に日本公開になる、映画『リスボンに誘われて』の試写会に招待していただき、鑑賞を終えてきました。

世界にたった100冊しかない本に偶然に出会い、その内容に衝撃を受けた主人公ライムントはスイスに住む高校教師。
とりたてて不満のない生活をしていた彼が、本の作者アマデゥに会いたいがため、仕事を放りだし、リスボン行きの夜行列車に飛び乗って
アマデゥを探し求める中で出会う、様々な衝撃の真実。

美しいリスボンの穏やかな街並みとは裏腹に映画の内容はショッキングな場面を多様にちりばめたサスペンス調。
まず、ここに驚きと同時に惹きこまれました。

主人公が追い求めた本の作者であるアマデゥが送った人生の中には、
まさにドラマティックな、「事実は小説よりも奇なり」な出来事がちりばめられておりアマデゥが医者となった後の大きな事件、反体制運動への参加や、親友の恋人との熱愛、などなどと、見ているものをリスボンでの、その当時のアマデゥの状況「過去に起きた運命」に自然に惹きこんで巻き込んでいくのです。

途中で離婚経験のある主人公ライムントには新しい女性とのほのぼのとした出会いがあり、またこちらの「現在に起きている運命」もひっそりと確かな手ごたえで動いていきます。

現在と過去のリスボンでの出来事がうまく調和され、最後の謎解きを終えた後。ラストシーンで主人公は人生の決断にもう一度真正面から向き合わねばならなく
なります。

私が、ファド(ポルトガル・リスボンで約200年前に生まれた大衆歌謡)に出会ったのが2007年。まさにライムントのように、見知らぬ土地リスボンに2008年、単身でファドを知りたいためだけに情熱だけをスーツケースに詰め込んで向かいました。

私の頭の中には「現地のファドを知り、歌いたい」というそのキーワードしかありませんでした。ポルトガル語も達者ではない日本人の私は、誰も知り合いのいないリスボンの街で、たった一人ファドを毎夜求め、歩き回り、ファドミュージシャンとの出会いの中で毎日ファドを歌う日々を重ねました。

そしてポルトガルギターをなんとか手に入れて、日本に帰った後は、
一から日本でのファドの活動を始めました。

あれから6年間がたち、一人から始まった活動には素晴らしい仲間ができました。
そして今のファド歌いの自分がいます。

まるであのころがフィードバックするかのように「すべてを投げ出したライムントと自分」を映画の中で重ね合わせました。

人生はたった一人での決断と行動から始まります。
手に持っていたものを放り出せるくらいの情熱がなければ
人生は決して変わりません。

与えられた運命。それは動かしがたいものです。
しかしそれを受け入れながらも強い信念を持って人生を進んでいくことが悔いのない人生を送るための確かな道かもしれません。

そんなメッセージをこの映画からは受けました。

ファドには「運命」という意味があり、
また「サウダーデ」という感情があります。

サウダーデとは、「心から求めてやまない、ここにはないものへの熱い想い」というような意味で、ファドにはなくてはならないもの。
人生におけるさまざま経験の中で培われ年輪を重ねた
「人生における重厚なひだ」のようなものです。

この映画に出てくる登場人物には「人生の深いひだ」があり、
それが役者たちの名演技によってこちらに
表情で、動きで、また顔に重ねられた皺からも
ひしひしと伝わってきます。

そして求めてやまない愛しいものへの深い大きな愛情がそこかしこに溢れています。

映画の中で時折バックに流れるポルトガルギターの音色に
ドラマティックな内容が癒されていきます。

「ああ、この映画そのものがファドである」と感じられるような、
素晴らしい作品でした。

リスボンには次の運命が待っています。

ライムントや、私もそのように新しい運命と出会ったリスボン。
きっと皆さんも、リスボンに行きたくなってしまう映画です。
まずは、その美しい街並みに酔ってください。

新しい運命の待ち受ける世界に「一歩足を踏み入れる勇気」を与えてくれる映画です。

ポルトガルに行ったことがあったり、興味がある方も、また初めて触れる方にも「リスボンの魅力」を存分に伝えてくれることでしょうね。9月の公開が楽しみです。

浅井雅子 ファド・ラテン歌手


by machafado | 2014-07-19 09:58